私が最近読んで非常に感銘を受けた本を紹介する。
著者大杉潤氏で『定年ひとり起業』なる書籍だ。
内容は書籍の書名通り定年退職して一人で起業する。というもの
一人でというのがキーポントである。そして70歳代まで働く時代が来たというもの。
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1.100年時代を生きる我々
定年退職は65歳、最近では70歳まで延期しているところも出てきた。それが今まで常識のようにまかり通っていた。
しかし、本書ではその常識を覆す。つまり、100年という寿命の可能性がある現代。
65歳以降はまだ働くことができるし、働かなければ非常に不幸になる、幸福度が下がるというのである。
悠々自適に老後を暮らす。趣味や旅、そして年金で余裕をもってゆったりと暮らすことが、果たして幸せな定年、つまり老後なのかという問い。
そのうえで著者は50歳後半で独立、さらにそこから2年後に起業を始める。実体験を伴い、説得力のあるストーリーだ。
そして起業をするといっても、会社を立ち上げたり、店舗を構えたり、従業員をやっとたりするのではなく、ひとりで、いや奥さんを社長にするということも提案している。
そして夫婦で仕事を一緒にするからこそ、常に対話も生まれ、夫婦関係も円満であるというのである。
確かに、よく聞く話ではあるが、退職後旦那が家ばかりいて、何もすることがない。それをそばで妻が居心地悪いという不平を漏らしたり、不満を抱える、というケースだ。
定年後の人生をどう設計するか、これは今まさに退職を迫っている人だけでなく、世代を超えて考え、生涯の生き方、プラン、キャリアという面で考えるべき内容だと思った。
2.いつ定年退職するのか。
ではいつ退職するのか。
もしあなたがやらされている、仕事に魅力がない、ただ定年だけを待っている、のであれば、早めに手を打つことを提案している。
はやければ50歳台なのであろう。
私は最近類書ではあるが『40代から手に入れる最高の生き方』という本を読んだ。ここでは、40歳が人生の最高の時期であり、自分の人生を生きがいをもって始められる時期であるというものだった。人生は40歳で花が開くようにできていたともいう。
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そうだ。今ままでは経験、予行演習、色々な知識の蓄積を考えれば、まさに40歳いや50歳でも遅くない、そこからがほんとの人生を謳歌する時期なのではないのか。
100年時代だからである。
『定年ひとり起業』ではまさに定年を待つまでもなく、50から起業していくと、準備期間2年と考えても、60歳以降は非常に生きがいをもって過ごすことができる。
ただそのときに大切なのは、働くことへの考え方。やらされている、義務だからではなく、
喜んで働けるものを選べるかどうか。
そのことを選ぶためには、「好きなこと」「得意なこと」そしてそこから「収益」が見いだせるものだ。さらには世の中に役立つことも加える。
好きなことだけではいけない、そこから収入が得られること。
この4つが重なることで、楽しんで働くことができるのである。
仕事に従事していると、自らを省みない。忙しということもあるが、そこで安定し安住してしまえば、やりたくないことも、経験でこなしてはいける。
しかし、だれもが定年は訪れる。そのときまだ健康で意欲もあり、余力もあるのなら、やはり働くということは必須ではないかと思う。
そう意味で、自分自身をよく見つめる作業は必要だと思う。
私は「早朝」にメモをしたり、日記をつけたりするが、朝よく思考をまぐらして、新しい気持ちで臨める時間を利用しながら、今後の自分のことを見つめる。これは非常に整理されて今後の将来のことを計画するうえで、役に立つと思われる。
3.我々は何歳まで働けるのか
本書では働く期間を「トリプルキャリ」という人生設計を提唱している。
ファーストキャリアは会社員としてのキャリア
セカンドキャリは退職した後の働き。
そしてサードキャリアは75歳ごろ目途に働きかたをやや変えていく。
とうものだ。
本書では80歳ごろに今までの分散していた仕事を絞っていくことがいいと言っている。
よって何歳までという提案はないが、80以降も働けることを目標に準備することが大切なのであろう。
そう意味では健康はもちろんのこと、自分のやりがいのある仕事を続けられるかどうか。これも必要だと思われる。
80歳以降も考慮にいれながら、生涯働けることを念頭に入れておきたい。
著者は当初はブログやSNSを活用していたそうだ。これは今の時代情報発信をネット上で果たすことができる。インターネット、オンラインを活用する。
これならば、年齢に関係なく情報発信はできるのではないだろうか。
4.幸せ=労働観
本書では人生の幸福度を決める方程式を示している。
人生の幸福度 = 思考法 × 習慣
日本で幸福学という学問が生まれた。幸福とは心と体の状態が健康であることをいう。
思考法は心構えととらえ、もっとも大事なものとして「仕事」を挙げている。
いわゆる「仕事観」なるものだ。たしかに、仕事を第一の幸福の基準として考えたことがあるだろうか。
幸せというと、家族、お金、趣味といったことがすぐに思いつく。しかし
一日の大半は仕事に従事し、労働をし、オフィスなら仕事場から離れず、過ごしている。そうなると、まさに人生の大半を仕事のことにかかわっている。だから
幸せの指標は まさに 仕事、労働のとらえかたにある、のであろう。
どうとらえるのか。
ここでは「自己決定感」ということを述べている。
自分が喜んで仕事に従事している状態。
そうなると、休日などなくても、続けることができるし、喜びが増すという。
特に企業のオーナーや自営業の創業者などはこの幸福度が高いことが証明されたのだ。
このことを考えると、50歳からの幸福度はどんな「仕事」をするか、にかかっている。
それを50歳から真剣に考えることを教えられた書籍だった。
5.おわりに
私も今実際は岐路にいる。
これから退職するかどうか。
そしてその後の人生をどう生きるか。
そんな私のような悩みを抱える人に、ピッタリの書である。
とくに
ひとりで
起業する
ということの考え方、勇気、未来像を与えてくれるものとして役立つと思われる。