伊豆の二日目の旅路は熱川だ。下田の散策を終え、伊豆熱川へ向かう。最初の宿泊地だ。ホテルは伊藤園熱川ホテル。この温泉街での食堂はそれほど多くはなさそうと予想した私には、朝食夕食のバイキングに惹かれてしまったということが大きい。さらに一泊9000円超えなない安さだった。温泉宿でこれだけの安いのはありがたい。
「熱川」でしたかったことは、意外と単純で熱川温泉街の散策。日本の海辺を満喫すること。一人の時間をもって日記をつけること。の三つほどだった。さてどんな一人旅ができたか。日本再発見はできただろうか。

伊豆熱川駅からホテルまで
伊豆の熱川に着いた。すでに夕方だ。私を迎えたのは駅の神秘的な提灯と足湯だった。これを見ただけで温泉街に来たと実感。駅前の雰囲気はなかなかだった。足湯は海岸にもある。翌日の午前に私は海辺にある足湯で海を見ながら湯に足を浸かった。

伊豆の温泉巡りは、足湯のことも考えると足を浸かった後足をふける小さなタオルかハンカチがあるといい。


さて市内はややひっそりとしていて、人気(ひとけ)はそれほどない。繁華街らしきものもない。でもそれが逆にいい。日本の昔ながらの温泉に来たという実感がわいてくる。熱海や伊東の温泉街よりホテルやお店は少ない。だから短い時間で街を一周できる。
地図を見ながら、ホテルを探す。けっこう坂道を上がるのだが、そこから見えてくる海はたまらない。徐々にホテルが見えてきた。今日宿泊する「伊藤園熱川ホテル」だ。本来は送迎バスがあるのだが、歩いて観て土地感覚を確かめたかった。帰りは送迎を利用したが。行きも帰りもホテルの送迎はある。
伊東園ホテル熱川【公式サイト】熱川温泉旅行 – 伊東園ホテルズ

<ひとこと>
坂がけっこう急なので、無理して歩かないほうがいい。歩くのに自信があって、好きな人はいいが、送迎やタクシーを利用する方がいいと思う。
ホテルに到着。かなり大きなホテルだ。スタッフも親切で、ホテルの説明を受けて部屋へ移動。ちょっと古かったけどこんな感じ。だいたい満足。値段の割には十分な施設とサービスだ。ただ家族連れの場合はあまり満喫できないかもしれない。おひとりさま用か団体客用といった感じのホテル。

それでも一時帰国者にはこんなこじんまりした畳の和室はたまらない。布団にも寝れる。広いテーブル。そして海を一望できるソファ。和室で海を見ながらひとり静かな時間を満喫できそうだ。

夕方の熱川海岸が一望できる。ちょうど天気がよく、月が海に浮かんでいるようだった。熱川温泉街と海のコントラスト。そしてお月さん。二日目の宿泊を歓迎してくれているようだった。今回の伊豆の旅はどこにいっても天気に恵まれていて、私自身「晴れ男」だと自負した。今までの旅もけっこう天気には恵まれた方だった。
いや、「旅」に必要なのは天気だと実感した。日頃の行いを大切にして生きていくこと。大事なときに天気に祝福されるのではないか。そんなことを思いながら日記を書く。
”旅は日ごろからもうすでに始まっている”
ホテル宿泊記
伊藤園グループは以前に日光に行ったときに泊まったことがある。ホテルのサービスでは、バイキングが気に入ったこともあった。今回もこのバイキングを目当てにしていた。夕食を手配する必要がないからだ。もちろん温泉街だから食堂はそれほどないと思った。案の定食堂はそれほど見当たらなかった。
ただバイキングは7時から90分という時間制限があり、ややせかされて食事をした感じは否めなかった。もう少し余裕をもって食事ができればと思った。飲み放題はよかったが、食事はやや種類が少なかったようにも思えた。朝食はアルコールの飲み放題はない。それでもお腹いっぱいにたらふく食べることはできた。それでももし連泊だと飽きるかもしれない。

<ひとこと>
チェックインは7時前には済ませたい。食事の時間は決まっている。バイキングの時間は7時から90分は気を付けたいところ。

朝焼けの絶景
食後温泉につかった。日本の温泉だ。日本に帰ってきて、まず日本だと実感するのは温泉につかったときかもしれない。温泉にも地域によって異なる。匂いや肌触り。そして温泉からみえる景色。温泉もそうだが、忘れられない思い出になるのが以外にも温泉から見える景色も記憶に残っているものだ。ただその日は夜だったせいもあり、辺りは真っ暗で外の景色は見えなかった。それは次の朝にお預けだ。
その日は夜更かししたい気持ちを抑え、なるべく早く床についた。そして早朝早く起きるように努めた。日の出を見るためだ。朝6時に起きた。しかし、辺りはまだ真っ暗だ。その間に日記をつけた。そうこうしているうちにうっすら明るくなってきた。
ただ海の向こうには地平線は見えたが、雲がかかっていた。残念日の出は見えない。今日はやや曇りなのか。
もう少し待ってみる。忍耐も旅では必要なのだ。

それでもあきらめずに、景色を見ては読書をする。その繰り返しをしていた。
すると、光が私のほうに向かって輝いている。まさにご来光だった。
”旅は待つこと、あわてないこと、信じること”

日本人はこんな景色をみてきた。そうだ、日本人は日の出とともに朝を迎え、そして月とともに寝床につく。そんな人生を繰り返してきた。伊勢に来て日本人の日々の習慣がここにあると感じた。まさに「お日様」を拝む。そこに日々の疲れをいやし、感謝する日々だ。
早起きは六文の得というように、何かしらいいことはある。旅に来ても「早起き」はするものだ。そしてすぐに散歩に出かけた。海の音が遠くからかすかに聞こえる。下り坂を海のほうにむかって歩いていく。軽く体操をしてホテルに戻った。そして朝の温泉。そこからは熱川の海が一望できた。すでに日は昇っている。部屋から見えた日の出はなかった。あの部屋からの早朝の日の出は私の独占でもあり、神様からの贈り物でもあったようだ。


ぜひ早起きして、日の出をみてみたい。部屋からは海が一望できるはずだ。
癒しの海辺散歩
朝食を済ませて、熱川を散策。海のほうに下りながら、熱川温泉街を散策できる。下り坂だ。そしてあちこち温泉櫓から煙がでている。温泉街の旅はこれだ。

そして海につく。オーシャンリゾートを横に見ながら、そのまま海沿いを歩いてみる。歩くだけでも気持ちがいい。風と光、海の音、そしてすかさずカバンからスケッチ帳をとりだす。熱川の海辺をスケッチ。画家になった気分だ。



オーシャンリゾートに入る入口あたりに太田道灌の像がある。室町時代後期に関東で活躍した武将だ。江戸城を築城したことでも有名。この太田道灌が狩りの帰りに、猿が湯に入って傷を癒しているところをみて、彼が深手を負った際の傷もいやせるのではと思って湯に入ったところ、その傷が奇跡的に癒えたという。そこでこの熱川の温泉が「奇跡の湯」として開かれる契機となった。
確かに今回伊勢に回りながら、私も目の周りにあったちょっとしたできものを治そうという期待があった。その結果どうだったろうか。すっかり治ったのである。これはまさに奇跡としかいいようがない。日本の温泉はまさに傷を癒してくれる効果はあると思う。百聞は一見にしかず。


また日本人は自然界の動物を見て、そこからヒントを得るところがある。野生の動物を神の使いとして考えるところがあるのかもしれない。彼のそのような動物に対する考えがなかったら、ここに温泉街はなかったかもしれないのだ。太田道灌さんに感謝。昔の武将はすごい。知性も備えているのだ。
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日本屈指の温泉の湯
熱川温泉。熱い湯。
奇跡の湯
私は当初熱川は計画にはなかった。それでも、下田から熱海への中継地点として、どこがいいか考えていたところ、「熱川」にした。これはある意味「ひらめき」や「直観」みたいなものだった。旅の計画にはこの「直観力」がものをいう。
”旅の準備は理性と同時に直観を大事に”
結局「熱川温泉」にしてよかった。それはホテルから見えたあの朝日。これは熱川に来なかったらみれなかったかもしれない。熱川温泉は次のような日本屈指のものがあった。
1.13本の温泉櫓がある。これが日本一だそうだ。湯気が立ちもぼる櫓を見るだけでの温泉街に来たという実感はわくだろう。
2.日本指折りの温泉湧出温度の高さ。100度と高温度。
3.肌に良いとされる「メタケイ酸濃度」を多く含む。
これからも熱川を応援したい。あのホテルから見る朝日を生涯わすれないだろう。
海から上がる日の出は日本人に命の源や自然の力、そして今日を生きようという活力を与えてくれただろう。そして各地にある温泉には発見の秘話や効果などがあった。それらを知るための旅だけでも、日本の地理や歴史を知ることができておもしろい。