54歳という名の価値
私は今韓国にいる。
韓国の大学で教育(教授)をしている。タイトルは副教授だ。
教授といっても契約職で、60歳までの契約であと数年で定年ということになっている。
また、年ごとに学生の需要の変化によって、いつ退職を強いられるかはわからない。
しかし、現在の状況は学科への志願者が多いせいか(日本語の人気がある)、まだ退職を迫られることは当分なさそうだ。
いや今の私の立場は、大学では期待されているといってもいいぐらいだ。
期待というよりは要求が高いといっていいかもしれない。
それに見合う待遇ではないことは事実だが。
大学で教えているのは、日本語、日本の歴史文化、そして留学生にキャリアデザイン。
教えることはそうハードではない。しかし、私はどちらかというと、教えるのはあまり向いていない。
大きな声を張り上げて、大勢の人数、ひとりひとりに語り掛けるのは相当な力がいる。
それをこの歳まで続けてきたのはただただ、家族のためといってもいい。外国で生きていくために、子供のために、そして外国で生活するために、大学の職を選んだことも確かだった。
私はどちらかというと、ひとりで仕事をすることや、あるいは、自分でビジネスをするほうが向いているとは思っている。
絵をかいたり、本を読んだり、書いたり(今もブログをこうして書いている)、散歩をしたり、と。
結構一人で物事をしっかりこなすのが得意だ。大学教授もそういう面もある。が最近は違ってきている。ひとりで研究室にこもって読書や論文作成に精をだすということよりも、学内の行政のほうが重きをもっている。評価もそれが大きい。
私は現職の前の職場では、大学の行政のほうに力を注いでいた。というより注がざるを得なかった。それが評価されていたこともある。
現在も同じような立場ではある。つまり、大学発展のために行政、具体的には国際交流事業の部分でより多くの実績を立てることである。
それが結局は学生の大学における満足度アップにつながるからであり、中途退学を防ぐためという面もあるからだ。
しかし、大学のためとはわかっていても、いつ大学を去るかもわからない、やや不安定な立場からすると、どうもすっきりしない。ややもどかしい。つまり、60歳までかりに継続して勤務したとしても、では60以降はどうするか。という問題に突き当たるのである。
これは私だけの悩みではないはずだ。50歳代の読者の方なら悩むことではないだろうか。
家業への思い
いま私の選択の中に、3つの選択がある。
一つはこのままとにかく大学で働く。60歳で退職する。その後は?
二つは今後1~2年で退職し、日本にある家業を継ぐ。家業は理容と小さな会社、新しく理容の技術を学ばなければならない。
三つは退職して、一人で起業する。
という選択肢だ。
ここでネックになるのが、大学の今のポジションと期待である。
今の状況でやめるとなると、大学の損失はある。また私のような人を雇用しなければならず、その人も一(いち)から業務を覚えていかなければならない。
ただ、一人の人材で大学の営業が悪くなることはないから、それほどこれは深刻な問題にはならないはずだ。
一番のネックは私の子供のことだ。
大学の二年で学費もまだまだかかる。そして今後の就職なども考えると、今私が現職の大学を辞めて新しいことに移行していくのはややリスクをともなってしまう。
もちろん日本に行くという方法もあるが、家族をともなって日本に行くことは、子供の在学中には無理な状況だ。
では卒業するまでは待つというのがいいものか。
もしかしたら、子供の卒業を待つまでもなく、単身で日本に行くという方法もある。
子供は大学生といえども、もうすでに成人だ。
私の100年時代の過ごし方を考えると、これからは私の人生も優先してしっかり考えていかなければならない。そういう時代だ。だれかに頼るということはできない。
私のような悩みを抱えている50代の人はけっこう多くいらっしゃるとみている。そのためにこのブログも更新しているのであるが。
50歳代で高校生、大学生をもつ親御さんが多いと思う。
ひとり起業の展望
今とりあえず私にできることは
もし退職しても、食べていける余力を蓄えることだ。
そのために一人で起業していく。という方法。
今の私は「書くこと」が好きだから、ブログや執筆を今から手掛けている。
これなら、とりあえず副業として朝の時間や隙間時間にできるからだ。
また今まで日本語を教えてきた経験を活かし、オンライン日本語も考慮している。
私は50歳以降、自分のやってきたスキルを活かして、「教える」というのがいいと思っている。
これは大勢の人数の前で教えるのではなく、少人数かオンラインで一対一でするもの。
オンラインコミュニティ、オンラインサロン、オンラインセミナー等があると思う。
体力もこれなら消耗はあまりしない。そして室内でできる。
現在もオンラインで一人日本語を教えてはいる。
一人企業といっても最初から事業を立ち上げることはややリスクがある。
よって、少しずつ無理せず、自分ができる範囲のものを続ける。
これがいいと思っている。
現職と家業と起業の狭間の中で、50代を今生きている。
今後はどうなるか。ただ一日一日を大事に過ごしたい。
将来のことばかり悩み恐れていても、無駄な消耗と重荷を背負ってしまうことになりかねない。
毎日を感謝しながら過ごしつつ、でも自分の人生は他人任せにするのではなく、
自分で作り上げていく、これが非常に今問われている働き方、生き方ではないだろうか。
今年もあとわずかだ。時は早いものだ。日々を大切に生きよう。それが生きがいにつながるのだ。